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黒い雪

朝一番のミーティングで、自分が話している途中、一瞬意識を失いかけました。

気合いが足りんな~(汗)。


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今日の午後、上司と二人で、とある山奥の現場へ行って参りました。

今年は暖かく、雪が少ないとは言え、山奥ですのでそれなりの積雪があります。
当然、寒さはかなりのもの。
僕は防寒具でしっかりと寒さ対策をすると、長靴を履き、万全の状態でその現場へと乗り込みました。

そうして辿り着いた山奥の現場の入り口。周辺は一面の銀世界。
僕の前を歩くのは、雪に足を取られながらも、一歩ずつ現場に向かい進んで行く上司。
僕は周辺の地形を撮影しながら、先行する上司の斜め後ろを、ゆっくりとついて行きました。

目の前に広がる雪野原。
まだ誰も踏み固めていないその雪原は、一歩足を踏み出すたび、30㎝以上の窪みとなって僕の足を引き留めます。
その足を雪の中から引き抜き、また一歩前へ進む。そしてまた引き抜き、前へ向けてグサッ。また引き抜き、グサッ。グサッ。

歩きづらいな~(汗)。

心の中で雪原に文句を言いますが、こればかりは仕方の無い事。
冬の北海道の山奥を歩くのです、そこに雪があるのは当然の事なのですからね。

そうして一歩一歩、現場へ向かって歩き続ける僕。
と、そこでふと思いました。
どうして僕は、わざわざ新雪の中を歩いているのだろう? ・・・と。

僕の目の前には、先行して歩く上司。当然ですが、そこには上司が付けた足跡が続いています。
その足跡は、まだ誰も踏んでいない雪原よりは、遙かに歩きやすくなっている筈です。
ええ、わざわざ自分で新しい足跡を付けるよりも、上司の足跡をトレースして行く方がよっぽど楽に歩けるのですよ。

今頃そんな事に気づくなんて、僕も馬鹿だな~(笑)。
自分の頭の悪さに少し笑いながら、早速上司の足跡の上に乗ろうとして・・・出来ませんでした。

・・・ん? どうした?

上司の付けた足跡を辿れば、新雪の中を歩くよりも、遙かに楽に歩く事が出来る。
そう思うものの、何故か僕はその足跡の上に乗る事が出来ません。
足跡の上に足を向けようとすると、着地する寸前に足が勝手に方向を変えてしまう。そして、新雪の中に足をグサリと突き刺すのです。

僕は一体何をしているんだ?!(汗)

自分でも状況が理解出来ないまま、新雪の中を漕ぐ様に歩きます。
上司の足跡の上を辿った方がずっと楽なのに、わざわざ歩きづらい新雪の方を、一歩ずつ、一歩ずつ。。。

疲れていて、足下がおぼつかないのかな?

解りませんが、僕が上司の足跡をトレース出来ないのは事実。
きっとあまり寝ていないので、疲れているのでしょう。

それにしても、今日は本当に良い天気。
太陽に熱せられた雪原は、上の部分が氷の様な状態になり、踏み込むとバリッと砕けます。
それを砕きながら進む僕の両足は、さながら流氷を割りながら進む『流氷砕氷船ガリンコ号』の様です。

この白く輝く海原を、バリバリと音を立てながら進むガリンコ号(僕)。
その後ろには、延々と続く僕の足跡。
それはつまり、ここまで一生懸命に歩いて来た、僕の軌跡。。。

と、そこで気づきました。
先ほど、どうして僕が上司の足跡の上を歩くのを、あんなにも拒んだのか。

睡眠不足で足下がおぼつかなかった訳では無い。疲れでふらふらしていたからでも無い。
ええ、そうです。僕は・・・。


無意識の中で、あの人の跡をついて歩くのを、拒んでいたからなのです。


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意外な所で露見した僕の深層心理。
確かに嫌な上司だとは思っていましたが、まさかここまで忌み嫌っていたとは。。。
あの足跡は、真っ白な雪原に残した、僕の真っ黒な心ですね(汗)。

でも・・・。



これはある意味、僕のプライドなのかもしれない。



尊敬出来ない人間には従わない、そのすぐ後ろも歩かない。歩きたくない。

・・・意外と骨があるな、と、ちょっとだけ自分に感心(笑)。
by crystalgem | 2007-03-16 23:54
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